アルコール感受性遺伝子検査

前回の記事「酒が強い弱い」について、を書いているときに色々と調べていると市販のキットで遺伝的にお酒が強い体質かどうかを調べるものがあることを知り、早速ネットで注文して試してみました。本当は「注文して、届いて、検査キットを送りましたよ」からの「結果が届きました!」という流れで2つ記事を書きたかったのですが、引っ越しだの何だのであまりにも忙しく、結果が届いてからアッという間に2週間以上が経ってしまいました。。。

さて、手っ取り早く紹介してまいりましょう。

GENOTYPIST アルコール感受性遺伝子検査キット

こちらがアルコール感受性遺伝子検査キットと呼ばれるものです。診断結果が郵送で届くものと、WEBで届くものとあるようですが、WEBの方が少し安いのと届くのも早そうなのでWEB診断の方で注文。キットは翌日には届いていたと思います。ちなみに、お値段は5,000円程度とそこそこしました。(ネットで調べれば購入サイトは出てきますが、ページの一番下にリンクを貼っておきます)

中を開けてみるとこんな感じのセットが入っています。

・説明書
・同意書
・WEB登録カード
・検査キット
・返送用封筒 など

が同封されています。一通り読んで、書いて、こちらの検査キットを開封します。

①水で2〜3回すすぎうがいをし、口の中を清潔にする
②付属の綿棒のキャップを開け、口腔粘膜を採取する
③ほほの内側を左右合わせて1分程度擦って綿棒にしっかりと付着させる
④綿棒の先端が触れないように15分程度乾かし、元のケースに戻す
⑤名前を記入した名前シールをケースに貼る

これで同意書などと返送用封筒に入れて送り返すと2〜3週間で結果が届きます。「ちゃんと届くの?」と心配になるかもしれませんが、最初に付属しているQRコードを読み込んで会員登録などを済ませるので、その登録をミスらない限りちゃんと届きます。

さて本当であれば、ここから2週間ほど結果を待ちましょう!

…とやりたかったのですが、すでに結果も届いているのでビューンとタイムワープします。

アルコール感受性遺伝子検査結果

結果どーん!

でも、これだけでは何を示しているのかが分かりにくいですよね。ということで結果レポートには引き続きこのような図が載っておりました。

9タイプのアルコール体質

この表の見方は左端のところに書かれているADH1B(アルコール脱水素酵素)の活性度が3段階で書かれており下に行くほどアルコールの分解能力が高いことを示し、上端に書かれているALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素)の活性度が同じく3段階書かれており左に行くほどアセトアルデヒドの分解能力が高いことを示します。

そして、僕の結果がどうだったかというと、、、

ADH1B(アルコール脱水素酵素):3型 高活性型
ALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素):W型 活性型

ということで、2つの種類の酵素ともに3段階の中で一番お酒が強い遺伝子ということなので、9つの分類で一番お酒が強いグループと診断されました。まあ、僕は昔からお酒はかなり飲めたので予想された結果と言えるかもしれません。じつは今回、妻も一緒にアルコール感受性遺伝子検査をやったのですが、お酒は好きだけど酔うとすぐ寝てしまうので遺伝的には強くはないのかな?と思ったらなんと僕と同じ一番強いグループという診断結果となりました。笑

実際のお酒の強さは遺伝的要素だけでなく、身体の大きさや、MEOSの活性度によっても大きく変わるのかもしれないですね。そういう意味でこの結果は興味深いものであるといえるかもしれません。そして、鍛えれば強くなるということか…

このレポートの最後の方に「栄養のアドバイス」という項目があり『クルクミン』と『タウリン』が推奨されていました。クルクミンはお馴染みウコンの成分ですね。タウリンについては本当にたまたまですが、二日酔いの辛い症状を緩和するのに役立つのではないかと注目しているアミノ酸です。この『タウリン』についてはまたの機会に。

リンク:アルコール感受性遺伝子検査キット
https://www.herseries.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000000004

「酒が強い弱い」について

お酒が強いかどうかは基本的に遺伝によるものが大きいとされています。モンゴロイドである日本人においては、約5割の人はお酒に強く、約4割の人はあまりお酒に強くなく、約1割の人はほとんどお酒を飲めない遺伝子を持っていると言われています。

その3つのタイプを遺伝子の型で表すと以下のようになります。

  1. Glu/Glu型(お酒に強い遺伝子):日本人の約5割
  2. Glu/Lys型(あまりお酒に強くない遺伝子):日本人の約4割
  3. Lys/Lys型(ほとんどお酒を飲めない遺伝子):日本人の約1割

この型の違いにより何が変わるのかというと、アルコールの分解の仕組み という記事でも紹介したように、アルコールの分解には二段階の過程があり、それぞれ「アルコール脱水素酵素(ADH)」「2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」という酵素が関わっているのですが、この酵素を制御する遺伝子の型が変わることで生成されるアミノ酸が変わり、酒が強い弱いという差が出てくるのだそうです。

でも、酒の強さって本当に遺伝だけの要素で決まってしまうものなのでしょうか?

どうやらそれだけではなさそうです。実際に、お酒を飲み続けていたら昔に比べて量が飲めるようになったとか、しばらく飲んでなかったらお酒が弱くなったという話は、自分の体験でも人から聞いた話でもあると思います。これは気のせいではなく実際に「とある酵素」の働きにより起こっています。

それは先ほどの記事でも登場する「ミクロソーム・エタノール酸化系(MEOS)」という酵素です。

アルコールがアセトアルデヒドに分解される第一段階では、その70〜80%を「アルコール脱水素酵素(ADH)」が分解するのですが、量が多くなってくるとMEOSという酵素が助っ人としてアルコールの分解を助ける役割を果たします。そして、このMEOSというのはアルコールを分解し続けていると、なんとパワーアップ(活性)するようで、これが酒が強くなるということが実際に起こる理由です。

ただし注意しなければならないことがあります、この酒が強くなるという現象は「②Glu/Lys型(あまりお酒に強くない遺伝子)」の方に多く見られる傾向のようですが、MEOSが活性化されてアルコール→アセトアルデヒドの第一段階は促進されても、アセトアルデヒド→酢酸への分解は助けない(遺伝要因で決まってしまう)ので、有害物質であるアセトアルデヒドが体内にたまりやすく健康リスクが高くなると言われています。

元々、酒が飲めなかったのに鍛えられて酒が強くなったという方は注意が必要かもしれません。

トラさん

余談ですが、薬を飲んでいるときにお酒は飲んではいけないという話をよく耳にしますが、それはこのMEOSという酵素が元々薬などの代謝を行なっているため、薬とお酒を同時に服用することで、薬が効きにくくなってしまったり、逆に薬が強く長く聞きすぎてしまうこともあるようです。薬を飲んでいるときはお酒は控えましょう。

「酔いの戻り」経験についてのアンケート結果

Facebookの二日酔い研究所グループ版で以下のようなアンケートをとりました。

…飲みすぎた翌日、朝起きた時には若干お酒が残っている程度でそこまで体調の悪さはないものの、時間が経ってお昼頃になると吐き気や強い倦怠感がぶり返すように襲ってくることってありますか?またその頻度も教えてください。

このように二日酔いがぶり返す症状を、友人のW子さんが「酔いの戻り」と呼んでいるというコメントをくださったので、今後この二日酔い研究所ではそのように呼びたいと思います。ということで、「酔いの戻り」に関する経験についてのアンケート結果(2022.1.27時点)を発表いたします。ご協力いただいた皆様、ありがとうございます!

「酔いの戻り」経験についてのアンケート結果(上から症状の重い順に)

結果はこのようになりました。

毎回かほぼそのパターン:8人
何回かに一度そのような二日酔いになる:51人
ほとんどないが経験はある:40人
二日酔いはあるがこのような経験はない:88人
二日酔いになることがない:14人
※上から症状の重い順に

「このような経験はない」方が最多であることは予想通りであったものの、逆に「ほぼ毎回」「何度かに一度」「経験はある」を合わせた、”1度でも経験がある方”がほぼ半数に達していることに驚きを感じました。ちなみに直野は「何回かに一度」このような症状になりますが、51人も同士がいたことで意味のない安堵感に包まれました。とはいえ当グループはお酒が好きな方の比率が著しく高いと思われるので、一般の方を対象にアンケートをとった場合に結果が大きく変わる可能性はあります(というか高い?)。

回答いただいた項目ごとにメンバーを見てみると、「ほとんど毎回」と「二日酔いになることがない」と両極端の回答をしたグループには酒豪な方々が多いような気がします(勝手なイメージです)。逆に「二日酔いはあるがこのような経験はない」のグループは常識的なお酒の飲み方ができそうな人が多そうな気がしました(これまた感覚値です)。男女差というのはほとんど感じず、どのグループも偏りはないようです。

なかなか興味深い結果が得られました、改めましてご協力いただい皆様、ありがとうございます。

二日酔い研究所のグループ版にもどしどし参加お待ちしております!
https://www.facebook.com/groups/346285257080798

二日酔いの主犯格はアセトアルデヒドなのか?

二日酔いについて詳しく調べてみようと思ったきっかけがあります。

それは、年齢を重ねるにつれ、朝起きた時よりも昼ごろにかけて二日酔いの症状が徐々に辛くなる体験をするようになったからです。それまでは単に二日酔いというのは前日のアルコール(アセトアルデヒド)が残っている為に起きていると思っていましたが、それが正しいとすると時間が経つにつれ症状は軽くなるはずだからです。

前にも引用した、当研究所の教科書的な存在となっている、厚生労働省のe-ヘルスネットの記事にも以下のように記述があります。

以前から本命とされていた血中アセトアルデヒドが二日酔いに関係していることを示すデータは驚くほどありません。事実二日酔い状態にあっても、血中にアセトアルデヒドが検出されることは稀です。しかしフラッシング反応を示す、非活性型ALDH2を有する人は二日酔いになりやすいことが報告されています[3]。もしかするとアセトアルデヒドそのものではなく、その後遺症が関係しているのかもしれません。

3.Yokoyama M, Yokoyama A, Yokoyama T et al.
Hangover susceptibility in relation to aldehyde dehydrogense-2 genotype, alcohol flushing, and mean corpuscular volume in Japanese workers.
Alcohol Clin Exp Res 29: 1165-1171, 2005.

<出典>
樋口 進. 二日酔いのメカニズム. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html 厚生労働省. (2022)

まだ断定的にいうことはできないのでしょうが、二日酔いの主犯格がアセトアルデヒド自体ではないのではないか?ということが書かれています。「非活性型ALDH2を有する人」とは何かというと、先日の記事でも取り上げたアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い人ということです。このALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)の強さ弱さというのは遺伝により決まるそうです。

アルコールの分解の仕組み
https://2-ka-yoi.com/archives/78

ちょっと難しい文章ですが、アセトアルデヒドそのものではなく、それが分解されたあとの何かが二日酔いに関係しているのではないか?という仮説が書かれていますが、詳しいところはまだ分からないようです。しかし、そうだとすると文頭に書いたような朝よりも昼の方が二日酔いの症状が重くなる、ということが起こり得るのかもしれません。

※アセトアルデヒドは関係ないとは書かれていません、いくつかある要因の候補としても挙がっています。

二日酔いのメカニズム(助長要因)[2]の候補

1.軽度の離脱症状
2.ホルモン異常・脱水・低血糖・その他
3.酸塩基平衡のアンバランスや電解質の異常
4.炎症反応の亢進
5.睡眠や生体リズムの障害
6.アセトアルデヒドの蓄積
7.胃腸障害
8.メタノール
9.酒に含まれる不純物(congener)
10.その他

<出典>
樋口 進. 二日酔いのメカニズム. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html 厚生労働省. (2022)

次の記事では、自分の体験(二日酔い人体実験)を踏まえつつ、上記に挙がっている要因の候補について思い当たることを振り返ってみたいと思います。

アルコールの分解の仕組み

二日酔いは前日に飲んだ大量のお酒が分解しきれずに残ってしまっている為に起こると考えられますが、二日酔いについて考える前に、そもそもアルコールがどのようにして体内に取り込まれて分解されているのかを調べてみました。

まず口から入ったアルコールは胃に届き、ここで約20%、そして小腸から約80%が吸収され、一旦肝臓に送り込まれます。肝臓ではアルコールの分解(代謝)が始まりますが、代謝の速度はゆっくりなので、分解されていないアルコールは血液から心臓に送られ、脳に届くとやがて「酔う」という状態になります。

肝臓で行なわれるアルコール代謝の流れとしては、アルコール脱水素酵素(ADH)やミクロソームエタノール酸化系(MEOS)等によりアルコールが分解され、まずアセトアルデヒドになります。悪酔いや頭痛、動悸の原因とも言われる毒性のある物質です。続いて、2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)等により、アセトアルデヒドは無害な酢酸へと分解されます。この酢酸が血液により全身へめぐり、水と炭酸ガス(二酸化炭素)に分解され、水は汗や尿で、炭酸ガスは呼気中に含まれて外へ排出されます。

飲んだお酒の量ーアルコール代謝される量=血中アルコール濃度

時間とともにどんどんお酒を飲んでいきます、肝臓では分解が始まりますが時間がかかる為、分解しきれないアルコールが体内に残り血中アルコール濃度が徐々に高くなっていき、その量により酩酊度も変わってくるという仕組みです。お酒を飲み終わっても肝臓でのアルコール代謝は続き翌朝までに飲んだお酒が分解しきればスッキリと起きられ、分解しきれない量のお酒を飲んでしまうと、それがまさに二日酔いになるということです。

ちなみに身体の大きい人はそれだけ血液量も多いので身体の小さい人より血中のアルコール濃度が上がりにくい(酔いにくい)のだそうです。またアルコールの処理能力も体重により異なると言われています。

一般的に60~70kgの体重の人のアルコール処理能力は1時間に純粋なアルコール約5gとされています。これはビールに換算すると中びん約1/4本、日本酒だと約1/4合となり、ビール1本もしくは日本酒1合のアルコール処理には約4時間かかる計算になります。一升瓶の日本酒の1人で飲み切るとアルコールの分解に40時間もかかることになります、これは恐ろしい三日酔いコースですね。

二日酔いのメカニズム

厚生労働省のホームページに二日酔いのメカニズムについて書かれた記事があります。色々と難しいことが書かれていますが、二日酔いの本質に迫るような内容の濃い記事なので、先日のアンケート結果などとも絡めて、読み解いていきたいと思います。

二日酔いは酒の飲みすぎが原因であることは明白です。しかしほとんど誰もが知っているあのつらい症状が何故起きるのかについては驚くほど解明されていません。有力な説として、軽度の離脱症状・ホルモン異常による脱水や低血糖・体の酸塩基平衡のアンバランス・炎症反応・アセトアルデヒドの影響・酒に含まれるメタノールや不純物などが挙げられています。しかし最も的を射ているのは、単一要因ではなく既述の要因または未だ不明の要因が複雑にからみあって二日酔いが生まれるという説明でしょう。

1.二日酔いとは
二日酔いの歴史は古く、すでに旧約聖書にその記述が見られます。しかしその長い歴史にもかかわらず、二日酔いの定義や診断基準などは未だ示されていません。多くの方が経験されていると思いますので、症状を今さら説明するまでもないかもしれませんが、頭痛・胃腸症状・睡眠障害・感覚や認知の障害・うつ気分・自律神経症状など様々です[1]。

2.二日酔いのメカニズム
二日酔いは酒の飲みすぎが原因であることは明白です。しかしほとんど誰もが知っているあのつらい症状がどのようなメカニズム(発症機序)で起きるかについては不明の点が多いのが現状です。下記に発症機序を説明しうる要因を列挙しました[2]。

<出典>
樋口 進. 二日酔いのメカニズム. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html 厚生労働省. (2022)

そして、以下の10項目が挙げられています。

二日酔いのメカニズム(助長要因)[2]の候補

1.軽度の離脱症状
2.ホルモン異常・脱水・低血糖・その他
3.酸塩基平衡のアンバランスや電解質の異常
4.炎症反応の亢進
5.睡眠や生体リズムの障害
6.アセトアルデヒドの蓄積
7.胃腸障害
8.メタノール
9.酒に含まれる不純物(congener)
10.その他

<出典>
樋口 進. 二日酔いのメカニズム. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html 厚生労働省. (2022)

二日酔いの時、脱水が起きているというのは聞いたことがありますが、離脱症状?ホルモン異常?低血糖?酸塩基平衡のアンバランス?電解質の異常?炎症反応?などなど、、、難しくて聞いたことのない言葉が並んでいます。しかし、これらが二日酔いの辛い症状の要因になっていると書かれています。

まず二日酔いはアルコール依存症に伴う離脱症状の軽症・短時間版という捉え方があります。確かに二日酔いに見られる自律神経症状は離脱症状のそれに類似しています。しかし脳波検査によると、離脱時期には速波化するのに対して、二日酔い時には徐波化する(両者で正反対のパターンをとる)ことから、この類似に意義を唱える者もいます[2]。

酩酊状態から二日酔い状態になっていく間にホルモンの分泌状態が大きく変化するものもあります。尿量を下げる抗利尿ホルモン、尿の排泄や血圧の調整に関係するアルドステロン・レニンなどがこれに当たります。
例えば抗利尿ホルモンは、酩酊時にその分泌が下がるため尿量が増えて体が脱水傾向になります。二日酔い時には逆にその分泌が増加します。抗利尿ホルモンのこの変化量は、二日酔いの重症度と関係があると示唆されています。
またこれらのホルモンほど明らかではないが、糖代謝に関係するインスリンやグルカゴンの分泌も変化します。これらの変化に伴う脱水や低血糖状態が、二日酔い症状の一部をなしていることもよく知られているところです。

二日酔い状態では、体の酸塩基平衡(酸性/アルカリ性バランス)が酸性に傾き、この程度が二日酔いの重症度と関係があることが指摘されています。また二日酔い状態では、ある種の炎症反応のマーカーが高値になることも報告されています。これは消炎鎮痛薬が二日酔いにある程度効果のあるという根拠になっています。

一方で以前から本命とされていた血中アセトアルデヒドが二日酔いに関係していることを示すデータは驚くほどありません。事実二日酔い状態にあっても、血中にアセトアルデヒドが検出されることは稀です。しかしフラッシング反応を示す、非活性型ALDH2を有する人は二日酔いになりやすいことが報告されています[3]。もしかするとアセトアルデヒドそのものではなく、その後遺症が関係しているのかもしれません。その他、メタノール・胃腸症状・酒の不純物なども原因とされています。

以上を踏まえ最も的を射ているのは、単一要因ではなく既述の要因または未だ不明の要因が複雑に絡みあい二日酔いが生まれるという説明でしょう。二日酔いになるほど飲まなければよい話ではありますが、さらなる研究が必要なことはいうまでもありません。

参考文献

1.Swift R, Davidson D. Alcohol hangover
mechanisms and mediators.
Alcohol Health Res World 22: 54-60, 1998.

2.Wiese JG, Shlipak MG, Browner WS.
The alcohol hangover.
Ann Intern Med 132: 897-902, 2000.

3.Yokoyama M, Yokoyama A, Yokoyama T et al.
Hangover susceptibility in relation to aldehyde dehydrogense-2 genotype, alcohol flushing, and mean corpuscular volume in Japanese workers.
Alcohol Clin Exp Res 29: 1165-1171, 2005.

<出典>
樋口 進. 二日酔いのメカニズム. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html 厚生労働省. (2022)

二日酔い症状アンケート結果

Facebookの方にアンケートを寄せていただいた症状に関するものの集計です。TOP3が、吐き気、頭痛、倦怠感でダントツです。サプリに比較して症状のコメントをくださった方は少数で数が少なく見えますが、だいたい皆さんこの中の症状から2〜3個の症状が複合的に出ているようです。やはり人それぞれという感想。勝手ながら関連してそうな症状をグルーピングしてみました。

<胃に関連しそうなもの>
吐き気 x 22
胃痛 x 4
胃のむかつき x 3
胃の不調 x 3
胃もたれ
胃が重い
胸やけ

<頭に関連しそうなもの>
頭痛 x 17
めまい x 4

<食品系>
だるさ(倦怠感) x 15
眠気 x 6

<その他>
脱水症状
発熱
貧血
食欲減退

わたくし所長直野は、頭痛はありません、主な症状は吐き気、胃のむかつき、倦怠感などです。最近はこの「倦怠感」の度合いが強くなっていて、動けないほどの強烈な倦怠感に襲われることがあり、一番悩まされている部分です。
おそらく皆さんも書いてましたが、頭痛にはシンプルに鎮痛剤(ロキソニン、バファリン、EVEなど)がいいと思います。また胃の不調には僕は太田胃酸を飲んでますが、その他胃腸薬が良さそうでしょうか。この「強烈な倦怠感」が何に由来するのかもう少し探っていきたいと思います。

二日酔い対策アンケート結果

Facebookの方で二日酔い対策を質問した時に100人近くの方に回答をいただきまして、それをザックリと集計してみましたので結果を発表いたします。ざっくりの分類と類似のものは併記したり、なんとなく多いものから順に並べてあります。飲む前のものや二日酔いになってからのものなどゴチャ混ぜです、参考まで。

<水分系>
水 x 16
経口補水液 x 8
ポカリスエット x 4
 スポーツドリンク x 2
 アクエリアス
 Green DAKARA
白湯 x 2
お茶

<サプリ・薬・漢方系>
ハイチオールC x 12
 L-システイン x 2
よいとき x 8
ミラグレーン x 8
ヘパリーゼ x 7
酒豪伝説 x 6
鎮痛剤 x 6
 ロキソニン
五苓散 x 5
ナイアシン x 3
胃薬 x 3
 ソルマック x 2
 太田胃酸 x 2
 グロンサン内服液
KANZO x 2
ノ・ミカタ x 2
シルマリン x 2
葛根湯
ウコンのチカラ
ウコン
チョコラBB
強力ミノファーゲンC
グルタチオン
しじみ習慣
アミノサプリ
アミノバイタル
トリプルウコンEX
ユンケルローヤル錠
ビタミンC
ミルクシスル
QPコーワゴールド
bcaa+gの粉
アミノバリュー
ハイアミノ
プロテイン
粉末の春ウコン
スパリブ

<食品系>
パパイヤリーフティー x 2
お米 x 2
味噌汁 x 2
柿 x 2
マックスコーヒー
マクドナルド
 マックグリドルソーセージ
熱湯に梅干し
グレープフルーツジュース
キャラメル
生牡蠣
トマトジュース1リットル
スパイスカレー
富士そばのカツ丼
ローソンの塩むすび
手作りのしょっぱい酸っぱい梅干し
蒙古タンメン中本
辛いカレー
コーラ
立ち食いソバで朝定のカレーセットに七味をたっぷりかけて
牛乳
朝カレー
ノニジュース
チーズ
レモン水
ほうじ茶に梅干し落としたもの
ラムネ菓子
炭水化物
R-1
レッドブル
麺類

こうやって並べてみて思うことは、人気のあるものはなんとなく耳にしたことがあるサプリなどもありますが、全体として言えることは「予防も対策も人それぞれ」ということ。二日酔いについて考えるときには総論で語ってしまうのは危険かもしれません。今後は個別のケースを大切にしながら、どのような症状のパターンがあるかを紐解いてみたいと思います。

二日酔い関するアンケート募集中

お酒を飲む人だったら一度は経験があるであろう二日酔い、調べれば調べるほどに謎めいていて奥深いものでした。

二日酔いといっても、その症状や原因や対処方法は人それぞれ…千差万別…十人十色。

その、人の数だけありそうな二日酔いというものをより知るために、アンケートページを立ち上げてみました。

https://2-ka-yoi.com/question.html

そして、二日酔いについて酒を飲みながら語り合う座談会なども企画していきたいと思います。

二日酔い研究所
所長 直野 秀治郎