二日酔いの主犯格はアセトアルデヒドなのか?

二日酔いについて詳しく調べてみようと思ったきっかけがあります。

それは、年齢を重ねるにつれ、朝起きた時よりも昼ごろにかけて二日酔いの症状が徐々に辛くなる体験をするようになったからです。それまでは単に二日酔いというのは前日のアルコール(アセトアルデヒド)が残っている為に起きていると思っていましたが、それが正しいとすると時間が経つにつれ症状は軽くなるはずだからです。

前にも引用した、当研究所の教科書的な存在となっている、厚生労働省のe-ヘルスネットの記事にも以下のように記述があります。

以前から本命とされていた血中アセトアルデヒドが二日酔いに関係していることを示すデータは驚くほどありません。事実二日酔い状態にあっても、血中にアセトアルデヒドが検出されることは稀です。しかしフラッシング反応を示す、非活性型ALDH2を有する人は二日酔いになりやすいことが報告されています[3]。もしかするとアセトアルデヒドそのものではなく、その後遺症が関係しているのかもしれません。

3.Yokoyama M, Yokoyama A, Yokoyama T et al.
Hangover susceptibility in relation to aldehyde dehydrogense-2 genotype, alcohol flushing, and mean corpuscular volume in Japanese workers.
Alcohol Clin Exp Res 29: 1165-1171, 2005.

<出典>
樋口 進. 二日酔いのメカニズム. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html 厚生労働省. (2022)

まだ断定的にいうことはできないのでしょうが、二日酔いの主犯格がアセトアルデヒド自体ではないのではないか?ということが書かれています。「非活性型ALDH2を有する人」とは何かというと、先日の記事でも取り上げたアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い人ということです。このALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)の強さ弱さというのは遺伝により決まるそうです。

アルコールの分解の仕組み
https://2-ka-yoi.com/archives/78

ちょっと難しい文章ですが、アセトアルデヒドそのものではなく、それが分解されたあとの何かが二日酔いに関係しているのではないか?という仮説が書かれていますが、詳しいところはまだ分からないようです。しかし、そうだとすると文頭に書いたような朝よりも昼の方が二日酔いの症状が重くなる、ということが起こり得るのかもしれません。

※アセトアルデヒドは関係ないとは書かれていません、いくつかある要因の候補としても挙がっています。

二日酔いのメカニズム(助長要因)[2]の候補

1.軽度の離脱症状
2.ホルモン異常・脱水・低血糖・その他
3.酸塩基平衡のアンバランスや電解質の異常
4.炎症反応の亢進
5.睡眠や生体リズムの障害
6.アセトアルデヒドの蓄積
7.胃腸障害
8.メタノール
9.酒に含まれる不純物(congener)
10.その他

<出典>
樋口 進. 二日酔いのメカニズム. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-005.html 厚生労働省. (2022)

次の記事では、自分の体験(二日酔い人体実験)を踏まえつつ、上記に挙がっている要因の候補について思い当たることを振り返ってみたいと思います。